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モンスターハンター!2 9章

荒天の弓使い 9章です。


モンスターハンター! 荒天の弓使い


 9章 天なる弓

 気味悪く隆起したフルフルの背が、ふっと沈んだ。
 かと思うと、弾けたスプリングのように赤い肉塊が殺到してきて、兄弟は左右に分かれて回避した。
「ギヒィエエエエエエエエエッ」
 金属板を何枚もこすり合わせたみたいに不快な鳴き声。悲鳴というほうが近いだろうか、生物の断末魔に似て胃がざわつく。竜は頓着なく頭から川に突っ込み、しかし急流の中で巨体はびくとも流されない。
 ――潰されたらミンチだな。
 ぞっとしながら、ヒューはごく最近の記憶を思い起こそうとしていた。フルフルとは以前にも戦ったことがある。
 雪山の洞窟に出た白い竜は、目の前の個体より大きかった。あのときは狩猟経験が豊富なザクセンの忠告を受けて、爆弾主体の狩りをしたのだ。その理由は、
 ザリッ――!
 無防備な下半身に斬りつけた双剣が滑る。ぶよぶよにたるんだ皮膚には、うっすらした傷跡しか刻めない。分厚い皮下脂肪と体表面を覆う粘液が、剣の切れ味を鈍らせていた。
 ――これじゃとても歯が立たない、と思って……。
 双剣士のこだわりを抑え、爆弾に切り替えたのだ。簡単に捨てられるほどちゃちな誇りは持っていないが、プライドのために村を犠牲にするわけにはいかない。けれど今は、望む望まざるに関わらず剣で戦うほかはなかった。
「やってやろうじゃねぇか……!」 闘争心には火がついている。
 間抜けなことに、自重で泥濘でいねいに捕らわれた竜は体半分を川に浸してもがいていた。二度三度、後脚の同じ箇所に剣を振りぬく。皮が裂けた。
 ――あと一撃!
 振り下ろそうとした矢先、いきなり足元で炎が弾けた。
 驚いて跳び退り、顔を上げたヒューの前で青白い稲妻がスパークする。
「ヴオオアアアアアアアアッ」
 フルフルの帯電攻撃。この鈍重な飛竜の最も危険な特性だ。
 電気袋という体内器官で雷を作り、体表に流したり口から吐き出して獲物を狩る。一発で大型草食竜を打ち倒し、人ならまともに突っ込めば感電死もある威力だ。
「熱くなりすぎるな、慎重に行け!」
 セインの矢で助かった。ふうっと息を吐き、ヒューは少し距離を取る。
 雷電は竜の身体を這うだけでなく、雨に濡れた大地を伝い、蛇のように周囲をびちびち跳ね回っている。うかつには近づけない。
 だが逆にガンナーには攻撃チャンスだ。放電しながら後ずさり、体勢を立て直して振り返ったフルフルの顔面。間髪いれずに火竜の炎が炸裂した。
 この木立。枝葉がさぞ邪魔だろうに、セインの矢はどこまでも正確だ。鳥肌が立つくらいの緻密さで弱点の首と頭に当ててくる。
「ガフッ……」
 火矢の連射に竜がひるむ。すきにヒューが駆け寄り剣撃を見舞う。
 帯電で跳びのき、その間はセインが確実に射込み、鎮まったところへ再び剣を突き立てに行く。
 ――繰り返してれば何とかなるか……!?
 眼のない飛竜の表情は胡乱うろんで、かけらの痛痒も感じていないかのようだ。力を込めて睨みながら、ヒューは肩で息をする。

 雨のせいだろうか、とセインは考えていた。
 フルフルの動きが妙だ。
 攻撃の精度が低い。その上、人間二人の居場所をすぐに見失うのか、身をかがめて大地を嗅ぐような仕草を頻繁に行う。
 眼球を持たないフルフルがどうやって周囲を認知しているかは、学者のあいだでも明らかになっていない謎の一つだ。
 閃光玉はもちろん、音爆弾もこやし玉も効かないことを、ハンターは経験から知っている。物陰で動かずにいたら気づかれなかったという者もあれば、隠れていたのに襲われたという矛盾した話を聞いたこともあった。
 ――確かキースは、電場のひずみがどうとか……。生き物が出す電流がどうとか、よくわからないことを言ってたが。
 詳細なメカニズムは専門的にすぎ、狩場のハンターには必要ない。どうすれば竜の攻撃を防げるか、そして致命傷を与えられるか。現場で重要なのはそこだ。
 ――元来フルフルは、環境が一定に近い洞窟内に棲む生物だ。変化の激しい外界では、上手く獲物を捕捉できないのかもしれない……。
 だとしたら、これから状況は厳しくなる。
 戦い始めた時より世界が明るくなっていることに、ヒューは気づいているだろうか。上空で雲が薄くなり始めている。雨が弱まってきた。
「ヒュー!」
 矢を放ちながら竜の攻撃範囲から逃れ、一度セインは弟を呼び寄せようとした。続くはずの言葉が苦悶の呻きに変わった。
「がは……っ」
 激痛と驚愕。セインは眼を見開く。見えるものが信じられない。間合いから離れた自分をなぎ払った、これはフルフルの首か?
 衝撃に、なすすべもなく身体を折り曲げる。突風の勢いで、セインは後ろの茂みまで跳ねとばされた。

「なん……っだよ、これ!?」
 眼を疑うなんてものではない。
 呼ぶ声に兄を捉えたヒューの視界を真っ二つに断ち割って伸びたのは、丸太よりも太く赤く――首、とわかった時にはセインが弾き飛ばされていた。
 伸縮するのは先刻承知とはいえ、今のは伸びすぎだ。体長の三倍くらいは軽く伸びた。以前見た通常個体の同じ攻撃とは比較にならない。やはり、亜種。
「小兄、無事か!?」 返事はない。
 コキコキと変な音を立てて、フルフルの首が元の長さに戻っていった。兄の消息を確認すべきか瞬きの間ヒューは逡巡し、はっとして剣を繰り出した。
「させるかよ!!」
 身を縮め、跳躍しようとした竜が出鼻を挫かれる。
「なあ小兄っ、大丈夫か!?」
「……生きてる」
 唸るようだが返事があった。そこで再びヒューは血を凍らせた。
 フルフルが両翼と尾までも使い、踏ん張るように大地を掴んでゆっくり天を仰ぐ。バチバチと耳障りな音に、竜の喉に宿る死の雷光を見た。
 セインは――脳震盪でも起こしたのか。ふらふら立ち上がったものの、しきりに頭を振っている。あれは間に合わない。
 攻撃を中断させるべく渾身の剣を突き出しながら、
「セイン、避けろ!」 叫ぶと同時に電撃ブレスが輝いた。
 バヂィッ――!!
 焼けたのは兄ではなかった。
 ヒューの一撃に思わず電撃球を噛み潰してしまったのはフルフル。口から白い煙をくゆらせている。けれどホッとしたのも束の間、ヒューのうなじの毛が逆立った。
 周囲の空気が、明らかに変質している。
 びりびりと全身を痛いほど刺す気配。竜の身体が何倍にも膨らんで見えた。
 ――怒らせた。
 間に合わずに、ヒューは正面からその直撃を受けた。
「ヒギィアアアアアゴオオオオオオオオオオオオオ―――!!」
 もはや音ではない。衝撃波だ。
 割れ鐘を百個並べて打ち鳴らしても同じにはならない。爆発的に凶暴な、心臓まで消し飛ばす咆哮――! 遅れて耳を押さえてもどうにもならず、これほど至近距離では揺さぶられるのは頭蓋ごとだ。
「か……は……っ」 ひどい吐き気と頭痛の嵐。
 脳髄を掻き乱され、周りの景色がとろけて見えた。
 ――音が、全然聞こえない。
 鼓膜がやられたかもしれない。
 ――膝に力が入らない。
 これではブレスを避けられない。
 刑を執行するかのごとく、赤い死神が残酷に鎌首をもたげる。
 音のない世界の中、放たれる電撃。白い軌跡が一直線に迫ってくる。遮った影は、よく知った色の眼差しをしていた。
 だから後から思い返しても、その一瞬のヒューの記憶はフルフルの赤ではなく、電撃の白でもなく、ただ鮮やかなブルーだ。

 * * *

 フルフルの首に弾きとばされ、ようやくめまいのおさまったセインの視界。
 最初に飛びこんできたのは、長い首をたわませた赤い竜の不吉な姿だった。
 ――あの独特の姿勢。
 咆哮の予備動作だ、そう思った瞬間に破壊的な音波が世界を圧倒した。
「くっ……!」
 辛うじて耳を塞ぐ。耐えながら、セインは恐ろしいものを見た。フルフルのほとんど真ん前で咆哮に膝を着いているのは、ヒュー。
「オオオオオオン――」
 物悲しげな残響をひきずりながら衝撃波が終わる。竜はそのまま青白い静電気を撒き散らし、ゆるやかに天を仰いだ。
 ――電撃ブレス。あいつはかわせないだろう。
 頭のどこかは冷静で、正確に未来を予測していた。
 ――盾があっても防ぎきれるものではない。
 どうすべきか。考える前に足が動いていた。
 駆け、辿り着き、顔を上げた弟と視線が合う。ひどい顔をしている。思った直後、背中に熱い衝撃が来た。

「――!!」
 悲鳴すら上げられず、セインは泥の大地を転がった。
 一緒に吹き飛ばされ、たぶん下敷きにしたヒューのもがくような気配。それからほんのわずか、セインは意識を手放したらしい。次に眼を開いたとき、地面が深く抉れてできた溝の底にうつ伏せに倒れていた。
 ――生きているのか……、驚いたな。
 ぼんやり思ったあと、焦燥に駆られてセインは瞬きした。弟はどこへ行った。
 溝と思ったのはどうやら洞窟の入り口で、運良く転がりこんだものか、ヒューがここまで運んだのか。
 身体がひどく痙攣していた。どっと冷や汗が噴きだす。背中から焦げた匂いと湯気が昇り、なぜか薬草の香りがした。弟が回復薬を掛けたようだ。
 身動きすると、引き攣れるような痛みに視界が白くなったが、泥に額を押しつけて耐え抜く。二三度大きく息をつき、両腕で自分を抱き締めるように震えを抑えると、セインは溝を這い登った。
 ごく近くに落ちていたのは弓と矢筒。あの時とっさに武具のベルトを外し、なんとか命拾いをした。電撃球は最初に弓矢に当たり、残滓が背で弾けたのだ。
「ギィエエエエエエエエエッ」
 ヒューはすでにフルフルの相手をしていた。洞窟から離れた遠い川際。
 まだかすかに残る痙攣を無視してセインは溝を抜け出る。火竜の弓を拾い上げた。矢筒は一瞥して通り過ぎる。炭化していた。
「――セイン」
 体当たりを上手く誘導して、フルフルを川に嵌めたヒューが寄ってくる。
「セイン、助かった」
「勘違いするな、勝算があったから動いただけだ。次はないぞ」
「ああ、わかってるよ」
「お前のせいで矢が尽きた。残り五本もない」
「あとは任せてくれ。二度とヘマはしねえ」
 そう言うと、弟は不意に腕を伸ばしてセインの肩を軽く押すようにした。どこかひたむきな表情でじっと兄を見たあと、すぐさまフルフルへと身をひるがえした。
 ――任せてくれ? 強がりばかり言う。完全に息が上がってるじゃないか。
 しかし無事な矢を拾い集めても、四本しか見当たらなかった。
 ――これでは満足な援護もできない……!
 ヒューは、立ち回るうちに竜の挙動や癖を掴んだらしい。動きは格段に良くなり、無駄もなくなっている。だが、咆哮を警戒して攻撃チャンスは逆に減っていた。あれをもう一度浴びれば今度こそ命はない。
 フルフルは――。
 弱った二人の攻撃など、まるで意に介していなかった。
 確かに脚から血を流している。頭や首に矢を突き立て、一部は焼けただれている。それが何だと言うように膝を屈する気配もない。
「化け物め……」
 呪いの言葉をセインは吐いた。けれど飛竜とは本来そういう存在なのだ。
 厚い皮も硬い外殻も、爪も牙も持たない人間など、本当は一方的に狩られる弱者に過ぎない。竜の身体から作り上げた鎧で護り、武器で立ち向かい、爆弾や罠や毒を駆使してようやく彼らと対等になれるだけ。初めから勝負は決まっていたのだ。
 ――また、足をもつれさせた。
 ヒューはもう限界だ。いや、限界などとうに越えているのか。
 一矢を竜の頭に放ち、時間を稼いでやりながらセインは思う。弟を動かしているのは、もはや気力だけだろう。双剣を握りながら、斬りつけながらあいつは死ぬかもしれないな……。
 では、自分は? 胸の底から声が聞こえた。
「ギヒィエエエエエエエッ!!」
「おおああああああああっ!!」
 尋常でない覇気を発して、ヒューは竜と吼えあっている。もう自身と竜しか見えていないのだろう。紅蓮の剣は赤い竜に負けじと輝き、生命を燃やした刃の軌跡は厚い外皮をものともせずに深い斬撃を脚に刻んだ。血を浴びながら半身で竜の噛みつきを避け、風を起こして両剣を突き上げる。
 ――僕は、また見ているだけか? 何もできずに、あの背中を。
 違うだろう。セインは弓を握る手に力を込めた。
 内に熱抱く火竜の炎弓。初めて一人で倒したリオレウスから、最初に作り上げた弓だ。強化を重ね、困難な狩りを何度もともに潜り抜けてきた。雷に弱い火竜の甲殻。ブレスの盾にしたとき、駄目だろうと諦めたのに壊れてはいなかった。ガタが来ていないはずがない。けれど。
 ――まだ大丈夫だ。僕も、お前も。
 手に残った矢は三本。気持ちとは裏腹に、静まり返った湖面のような青い双眸が竜に向かう。歩き、構えながらセインは吼えた。
「伏せろ、ヒュー!」
 立て続けに矢を放つ。挑発に乗ったフルフルの鎌首がぐるりと巡る。
 呼吸は落ち着き、心気は澄んだ。射る場所などとうに知っている。奥歯を食いしばり、セインは弓を引き絞った。
 雷を纏って竜が来る。
 鈍い曇天を背景にのしかかってくる巨躯。間近に迫る、全てを呑み込む暗い口。
 ギリギリまで耐えに耐え、生と死の境が見えた。気迫を乗せてただ一点、喉奥へと矢を放った。

 時が、凍りついたかのようだった。
 彗星のごとくはしった矢。後頭部から矢尻の先を突き出していた。通り過ぎたフルフルの頭蓋の中で、くぐもった爆音を立てながら。
「…………」
 パリパリと細かな電気を発散したまま、無言で竜が倒れこんでくる。
 潰される寸前、セインは横から突き飛ばされて泥の大地へ倒れこんだ。隣を見ると、弟が顔面から水溜りに突っ込んでいる。弓はまだ、壊れてはいなかった。
「ぶっへあ!」
 窒息しかけたヒューが跳ね起きる。泥を振り払って竜を見、絶命していることを確認すると座りこんだ。
「すっげえ……、即死かよ」
「当たり前だろう。殺す気で射たんだ」
「でも俺、飛竜相手に矢一本で止めが刺せるなんて思ってなかったからさ。ははっ、なんだこれ! 貫通してるじゃん、信じらんねえ。すっげー」
「…………」
「あんな近付くまでよく我慢できるよな! 俺なんかもう駄目かと思ってさぁ。血ィ抜いて動けなくさせるったって、こいつ皮の厚さが半端ねーし。だけど最後に兄貴に声かけられたときは俺、手ぇ出せなかったなぁ。殺気ってやつか? 凄かったぜ!」
 興奮気味に喋るヒューの言葉をどこか遠くで聞きながら、セインの思いは別の場所にあった。
 認めたくないが、父親の壁は大きかった。あの背中にいつも圧倒されていたのだ。
 超えなければ、超えなければと思っているうちに男は行方不明になり、セインは憎しみにも似た気持ちのやり場をなくした。
 たった一言でいい。父に認めさせたかった。認めてもらいたかったのだ。弓使いとしての自分を。
「ヒュー」
 振り向いた弟に、セインは言った。
「親父はたぶん、どこかで生きてるだろう。ゲリョスよりも生き意地が汚い、殺しても死なないような人だから」
 そう、一度ぎゃふんと言わせてやるまでは、死んでもらっては困るのだ。
 脈絡なく言いだしたセインにも、けげんな顔ひとつせずにヒューは笑った。
「ああ。だよな!」
 ――だよな、じゃないだろう。まったく、一言くらい聞き返せよ。
 つられたように苦笑した自分が可笑しかった。なんとなく救われたような気持ちにもなっている。不思議な気分だった。
 ああいう大らかさは、弟の良いところだ。ほんの小さな頃に別れたというのに、不思議とデューランに似て。
「お前のその、ザルの目より大雑把なところなんかは、本当にお父さんにそっくりだ。正直言ってムカつくね」
「ええ!? なんだよそれ、ひっでえなっ」
「ザルですらないか。枠だな、ワク」
 ワクワクと馬鹿の一つ覚えのごとく繰り返すうちに、わけもなく可笑しさが込み上げてきて、セインは弟の肩を叩きながら笑いだした。皮肉な笑みが通常装備の兄貴の大笑いである。しばらく呆気に取られていたヒューも、一緒になって笑った。
「まったく、ヒュー。帯電中のフルフルに突っ込むバカがどこにいるんだ。焦った」
「兄貴だって、ブレス喰らいそうになって超ビビってたじゃねーか。噛みつき攻撃でぶっ飛ばされたときとか、ほんとヒヤヒヤしたぜ俺」
「あの首の伸び縮みか。あれはありえなかったな。なんの悪夢だっていう」
「キモかった。マジでキモかった」
 これがいわゆるハンターズ・ハイというやつかもしれない。
 酸欠になるまで笑っていると、いつのまにか雨があがったようだった。
 わずかに雲が切れたらしく、隙間からのぞいた空が眼に沁みるほど青かった。細い陽光が幾筋か射しこんでくる。黒々とした湿地に、ところどころある水溜りが銀の鏡のように照り輝いた。
 溜まった水気を全て吐きだしてしまったのか、大気はやけに澄んでいる。天には相変わらず低く雨雲が流れていても、雲の端に差す眩しい金色。虹まで出ていたのがまた可笑しかった。
「なぁ、小兄……。なんで俺ら笑ってんの?」
「さぁ……。虹があんまり綺麗だから、ってことにしておきなさい」
「意味わかんねーし……」
「お前ね、せっかくお兄さんが詩的にまとめてやろうと……。まぁ、うん。帰るか」
「うん」
 ちょうどその時、二人の名前を呼ぶ声がした。川の向こうに眼をやると、エムやクロウ、ギルド職員と思われる一団がやってくるところだった。
 ヒューとセインは泥だらけの顔を見合わせ、一斉に立ちあがる。まったく同じタイミングで一団に指を突き付けて、同時に声を張りあげた。
「――おせぇよ、お前ら!!」


(「10章 エピローグ」に続く)
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